昨年くらいからDe Beersのダイヤモンドの売り上げがあまりよろしくない印象を持っていて、今回はその話から始めたいと思います。
De Beers Cancels August Sight, Combines with October Sale
https://rapaport.com/news/de-beers-cancels-august-sight-combines-with-october-sale/
De Beers社は、8月の展覧を取りやめて、9月の展覧と同時に行うとしました。また国連の会議がボツワナである事を考慮しながら、他の展覧も日程を変更する事となりました。今月の展覧を中止した理由は単純で、マーケットへのダイヤモンドの過剰供給です。その背景にはインドの工場が最終生産物の生産量を大幅に減らしている、というのがあります。ボツワナなどにあるダイヤモンド鉱山で取れるのは原石で、ここから宝飾品としてのダイヤモンドにするために研磨をします。その工場がインドにあってコストが安いのです(工場自体はボツワナにもありますが)。しばらくは売り上げがなかなか伸びないかもしれないですね。
次は、知っていらっしゃる方もいると思いますが、Karowe鉱山から、世界第二位の大きさのダイヤモンドが取れました。
Karowe Mine Yields Massive 2,492ct. Rough Diamond
https://rapaport.com/news/karowe-mine-yields-massive-2492ct-rough-diamond/
ボツワナの中央部にレタカネという鉱山町があります。人口約37000人のこの町は、首都のハボローネから車で6~7時間の距離にあります。そしてこの町は今回の主役、Karowe鉱山のおひざ元になっています。
Karowe鉱山はカナダのLucara Diamond社が所有し、2012年に操業を開始しました。10年余の歴史の中で、実に4つの1000カラット以上の大きなダイヤモンドの原石を回収しています(つまり、今回見つかった2492カラットのダイヤモンドは5つ目)。
ボツワナ国中が一番盛り上がったと思われるのが、2015年11月に見つかった、1109カラットの「Lesedi La Rona」です。あの時はたまたまボツワナにいたのですが、周りの人たちがすごく驚いていたのを覚えています。ボツワナとして初めての1000カラット越えだったからではないでしょうか。ただ、今年のTebogoさんのオリンピック金メダル獲得で、あの騒ぎは過去になってしまいました。
どうしてKarowe鉱山では、ここまで大きなダイヤモンド原石が回収できるかというと、X-ray transmission technology(X線透過技術)というものを使っているからです。詳しい原理は良く分かりませんが、これを使ってダイヤモンドとそれ以外の物質を分別して、ダイヤモンドを回収しているようです。推測ですが、この装置を選鉱プロセスの早い段階で使うことによって、より大きな原石を採取できるのかなと思います。
この約2年近く、Karowe鉱山は、坑内掘りへ移行するための開発で大忙しですが、移行後も大きなダイヤモンドでその名を世界にとどろかせてほしいです。
最後に、パリ五輪の陸上でボツワナ初の金メダルを取ったTebogoさんが、オリンピックが終わった後も躍動しています。
Olympic champion Letsile Tebogo comes from behind to win 200m at Diamond League in Silesia
https://olympics.com/en/news/olympic-champion-letsile-tebogo-comes-from-behind-to-win-200m-diamond-league-silesia-hot-streak
ポーランドで行われた陸上のダイヤモンドリーグで、Tebogoさんが200m走で優勝しました。オリンピックが終わって、大勢の国民が待つ故郷に凱旋してゆっくりしていると思っていたのですが、なんと休む間もなくダイヤモンドリーグに参戦していました。さらに調べていると、ポーランドの前にスイスで行われていた大会でも優勝していました。いやいや、凄すぎでしょTebogoさん。
https://www.cbc.ca/player/play/video/9.6488370
ボツワナのニュースサイトで金メダル狂騒曲の話題を報じた後は、彼の話題は特になかったので、正直びっくりしています。あとは今年のダイヤモンドリーグが終わるまで大変だと思いますが、怪我の無いように練習/レースをしてほしいです。そして来年の世界陸上(東京)で私たちにその雄姿を見せてほしいです。チケットはもう発売しているみたいなので、生で彼の走りを見てみたいですね。