今月ロシアでBRICS+の会議が行われるのは既に知っていらっしゃる方も多いと思います。その流れを受けて(?)、今回は今年及び昨年のNDBの投資家向けプレゼンを眺めて、「 経済のど素人 」が適当にコメントを書いてみようと思います。

NDBとはNew Development Bankの略称で、世間的には「 通称BRICS銀行 」という言葉が追加される場合があります。それもそのはず、主要なステークホルダーはBRICSの5ヶ国で、全体の約95%の株式を均等に所有しています。今年新たな加盟国が入りましたが、この銀行に関しては初期の5ヶ国が強い力を持っています。

肝心のプレゼンの内容ですが、なかなか興味深いです。

まず、NDBの格付けなのですが、AAやAAAとなっています。さらに格付け会社としてS&Pなどと一緒に「 JCR 」というものがありました。最初のJで予想がついた方もいるかもしれませんが、なんとこのJCRは「 日本格付研究所 」というところでして、そこがNDBにAAAをつけています。もしかしてこの研究所、と思って調べたら、とある界隈で話題の楽天グループにA-をつけていまして、ここは審査がちょっと甘いのかな、という印象を受けました。

また資産、負債、及び純資産の割合を示しているスライドがあるのですが、そこでの通貨単位がなんと米ドル。しかも、融資の主要通貨は未だに米ドルがメインのようです(続いて中国元(RMB)、ユーロ(EUR))。
ちょっと待ってください。あなたがたは脱ドルを目指しているのではないですか? BRICSとして通貨を作りたい、って言っていましたよね? せめて中国元での融資割合を25%にさせてから脱ドルを目指してほしいと思いました。まあ、ゴールドベースの通貨にしたいって言っていたから、そこは関係ないのかもしれませんが。ただ、結局どこの国も米ドルで融資しないと、その先の物資や商品を他国(BRICS以外)から買うのは難しいのでしょうね。

プレゼンの終わりのほうで、ようやく利益とバランスシートの表が(申し訳程度に?)出てきます。素人なので、「 資金運用利益(net interest income)が増えたな 」とか「為替レートの変動が大きいな」という部分しかわかりません。ただ、もう少しだけ言えることがあります。

NDB Investor Presentation (2024)より 和訳

上の図は、NDBの投資先の国を示しています。ご覧のとおり、NDBがお金を出している国は全てBRICS加盟国です。つまり、この5ヶ国でお金を米ドルや中国元でやりくりして投資をしている事になります。という事は、先に書いた「 資金運用利益が増えた 」といっても、この5ヶ国がそれぞれ利息を払っていることになります。
では一体、この中でどの国が一番損(=利息を一番多く払っている)をしているのでしょうか。
どうしてBRICS以外の国にNDBはお金を貸さないのでしょうか。
根拠はないですが、あと数年でこれらの答えが出てくるのかなと思います。