少し時間が経ってしまいましたが、今回はロシアで行われたBRICS会議で、ラマポーサ大統領などアフリカの首脳がコメントを残していたので、そこから今後の南アの役割はどうなっていくのかを考えてみます。
今年の会議は、以前ブログに書いた通り、ロシアのカザンという場所で開催されました。昨年は「 BRICS 」に名を連ねる5ヶ国だけでしたが、今回は、今年から新たに数か国が加わり、今まで以上に賑やかになったのではないでしょうか。
また今回の採択されたカザン宣言は、昨年のヨハネスブルグ宣言パート2よりもページ数が若干増えて、書く内容が増えて充実しているのかな、と勝手に思っています。
そんな中で、意訳で恐縮ですが、BRICSに参加しているアフリカ諸国のコメントがありました。
エジプト大統領「 国際社会は発展途上国に援助する役割を理解していた 」
BRICS: African leaders call for reforms of international institutions
エチオピア首相「 国連安保理を改革しなければならない 」
ラマポーサ大統領「 WTO(世界貿易機関)を改革しなければならない。また、貿易、技術交換などに関して、BRICS諸国で共通のプログラムを作る必要がある 」
https://www.africanews.com/2024/10/23/brics-african-leaders-call-for-reforms-of-international-institutions/
お金の無心をしている首脳もいたようですが、ここではラマポーサ大統領の発言に注目してみます。
最初に彼のコメントを読んだ時に、一瞬「 これって矛盾してない 」と思ったのですが、単に「 WTOが機能しようとしなかろうと、BRICS諸国向けの国際的な枠組みを作る必要がある 」と言っているだけなのですよね。そして将来的にはNDBのようなBRICS加盟諸国向けの機関を設立していくのでしょう。BRICSの中に、WTOに多大に迷惑をかけている国がある気がするのですが、そこは無視なさるのですね。まあ、強くは言えないですよね。
というわけで今回、南アの大統領はBRICSの最初の5ヶ国として、結構ギリギリを攻めた発言をした(言わされた?)のではないかと思っています。
正直なところ、BRICS間での貿易格差()だけを考えれば、この枠組みに残っている経済的なメリットはあまりないと思われます。一応、BRICSの軍事的つながりとして中露と海軍の軍事演習はしていますが、基本的に南ア沖で軍事衝突は起きにくいですよね。むしろBRICSを抜けてグローバルサウスの一角として居るほうが、国際的に上手く立ち回れるのであればベターだと思います。でも南アは、BRICSから抜けることは考えていないようです。
これらの定性的事実から、ひとつの事が考えられます。
それは、「 実を捨てて名を取る 」という選択を意識的にしている、つまり「 BRICSのSは捨てがたい 」という事です。この枠組みでの会議は毎年行われますので、そのたびに他の大国と並んで自分たちの国に少なからず世界の注目が集まります。特に日本においては、アフリカ諸国に関するニュースというと、大半はネガティブな事か選挙の結果なので、そこだけ切り取ってみても、自国(南ア)をアピールするのを自分たちから捨てるのはもったいない、と推測できます。
今回は、今後のBRICSにおける南アの立ち位置をちょっとだけ考えてみました。残りの主要4ヶ国に比べるとやや弱いですが、世界が劇的に変わらない限りにおいては、「 S 」を自分から捨てない、というのが私の素人予想です。