南アの政府が入るような形で、Stilfontein(スティルフォンテイン)の廃鉱山に入っているzama zama(違法採掘者)の救出作戦が始まりました。

アルジャジーラなどの情報によると、廃坑の中で少なくとも100名ほどが既に亡くなっているとの事です。どのような事情でこの場所に来て、あえなく命を落とされたのかはわかりませんが、まず初めに、亡くなった方々のご冥福をお祈りいたします。

昨年11月の中旬ごろに、この廃鉱山での警察の取り組みが世界中に報道されて、そこから継続して地上に上がってきた違法採掘者を逮捕してきました。現地の警察によれば、これまでに1500人を超える違法採掘者が地上に出てきたそうです。また一部メディアでは、武装したギャングとのつながりが指摘されていますが、これに関しては救出作戦が終了して、(あるいは並行して)現地聞き取り調査を経ての結論になりそうです。仮に存在していたとしても、ギャングはすでに店じまいしている(=逃亡済み)と思いますけれどね。

彼らzama zamaの出身は、南アの場合もあったと記憶していますが、主にジンバブエやモザンビーク、レソトです。その大半は正確に言えば、「騙されて連れてこられた」だと推測しています。自分の意思で違法採掘に手を出す場合もありますが、逮捕された人数を考えれば、「連れてこられた」とみるほうが、理にかなっているのかなと思います。
ではなぜ彼らは、わざわざ隣国から南アに来ることになってしまうのでしょうか。

答えは単純に「自国に仕事がない」。
これだけです。

インフォーマルな仕事ならいくらでもありますが、国民の大半がやっています。従ってほとんど稼ぎは得られないでしょう。アルバイトはないの、と思われるかもしれませんが、日本のコンビニに置いてある無料のなんとかワークなどを見てすぐ働けるアルバイトはほとんどありません。また大学を卒業しても、新卒はなかなか仕事につけません(この視点で見ると、日本の新卒採用は割と有効な気がしています)。結果として、そのような仕事のない人たちは家(の近所)にいるか、町に行くしかありません。
そして町へ行って、素性のわからないお兄ちゃん(彼のターゲットは若者と予想される)に、
「ちょっと遠いけど、稼ぎのいい仕事あるぜ。来るかい?」
と声をかけられれば、彼らはある意味ついていくしかなくなるでしょう。どこにいても、お金がついて回りますし。こうして、連れてこられた人たちが南アにzama zamaになってしまうのではないでしょうか。
国境が地続きですから、密入国も簡単でしょうし。

廃鉱山の違法採掘に関しては、もう少し言いたいことがあるので、また日を改めて書いてみようと思います。
最後に、未だに地下2kmのところにいる方々が、1日でも早く太陽を見られる日が来ることを願っています。