昨年のブログでボツワナのダイヤモンドについて書きました(https://mvt-southernafrica.com/2024/08/27/240827/)。その中で、ダイヤモンドが供給過剰になっていると少しだけ触れました。しかし、今年に入って、いくつかのダイヤモンド鉱山で退職/解雇が実施されていて、現状はどのようになっているのかを調べてみました。
今月に入って、レソト及びジンバブエにあるダイヤモンド鉱山で従業員の解雇が実施されました。レソトと言えば、トランプ大統領の発言で、初めてそのような国がある事を知った方も多いかと思います。それはさておき、正規の雇用がなかなか生まれない中で、アフリカ南部の両国にとっては大きな痛手になっているはずです。
一方、ダイヤモンド生産で世界第2位のボツワナでは、昨年末から少しずつ雇用が止まっていました。
昨年の12月以来、Debswanaでは650人以上の従業員が自主的退職をした。また、さらなる退職/解雇が予測される。
https://www.thegazette.news/news/over-650-employees-voluntarily-exit-debswana/
ちなみに、Debswanaとはデビアス社とボツワナ政府が50:50で所有するダイヤモンドの鉱山会社です。
さらに先日、カナダのEkatiダイヤモンド鉱山でも、数百人規模の解雇がなされる旨の報道がありました。
Ekati Owner Lays Off ‘Several Hundred’ Employees, Closes Part of Deposit
https://rapaport.com/news/ekati-owner-lays-off-several-hundred-employees-closes-part-of-diamond-deposit/
では、最初に書いた、ダイヤモンドの供給過剰はどのようになっているのか。これに関しては、ダイヤモンドを扱うウェブサイトRapaportが、4月に以下のニュースを出しています。
ダイヤモンドの在庫が低い水準で推移したことで、各カテゴリー(ダイヤモンド原石の大きさによって分類)での価格が上昇傾向になっている。
https://rapaport.com/press-releases/diamond-prices-continue-to-recover/?utm_source=chatgpt.com
いつの間にか、ダイヤモンドの供給「過剰」から「不足」に変わっていました。
ただ残念ながら、そのような状況であっても売れ行きが伸びないので(要因としては、米国・中国の経済低迷、トランプ大統領の関税導入、人工ダイヤモンドの流通が挙げられる)、従業員への給料が払えない、会社を辞めてもらうしかない、という流れになっているものと推測されます。供給不足で価格が上がったとしても、購入してくれる人がいなければ、やっぱり厳しいですよね。
今回は、約2年ほど売り上げが低迷している天然ダイヤモンドの話をしました。
近いうちに、この大変な状況下で、ダイヤモンドの巨人デビアス社が、何を打ち出しているかをまとめてみようと思います。