AGOAとSACUって何だろう?

今日のトップ絵は (Unsplash より Marek Studzinski さん作成です)

前に、米国の関税によってレソトが大変です(https://mvt-southernafrica.com/2025/08/05/250805/)という記事で、2つほど説明なしに使った用語があります。AGOAとSACUです。

なので、今回はこれらに関する話をしたいと思います。

AGOAとは、アフリカ成長機会法(AGOA: African Growth and Opportunity Act)の事を言います。2000年に制定されたAGOAは、サブサハラ地域のアフリカと米国との貿易関係を強化することが主な目的です。これの対象国となった国に対して(対象国になるにはいろいろな条件が必要みたいです)、米国が関税免除などの優遇措置を与えています。言い方を変えれば、AGOA対象国となった国々は米国との貿易に際して、かなりの恩恵を受けられます。ただし、このAGOAについてはとても重要な点があって、それは「米国のみにこの法律を延長する権利がある」というものです。米国からすれば、確かに何ひとつ利点がないですし、人によってはこの法律は不要だよね、と考えている人も少なからずいるのではないでしょうか。
多分、トランプ大統領はこの中の1人に入るかなと。

さて今後はどうなるかというと、すでにAGOAの延長に関する法案は出ています。

2024年4月11日に、AGOAを16年間延長することを含んだ「AGOA Renewal and Improvement Act of 2024」法案が米国連邦議会上院に提出されている。

https://www.jetro.go.jp/biznews/2024/05/8bd6168e23b19ef2.html

しかし、提出後に大統領に就任したトランプ大統領は、皆さんご承知のとおり、今月全世界に対して関税をかけたので(日本は15%でしたかね)、AGOAの延長はされることなく本年の9月末日に失効するだろうと思います。

もう1つは、SACU。
これは、Southern African Customs Union(南部アフリカ関税同盟)の略で、南アフリカ、ナミビア、ボツワナ、レソト及びエスワティニの5ヶ国から構成されています。SACUの特徴は、加盟国内では自由貿易(関税ゼロ)、SACU外からの輸入品には共通の関税率を適用などが挙げられます。

メリットデメリットは当然あるのですが、この関税同盟は南アの経済にかなり引っ張られてしまうので(人口および経済規模が全然違う)、そこがある意味難しいところです。また数年前にアフリカ大陸自由貿易協定が出され(https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/africa/page23_004333.htmlをご参照ください)、この協定とSACUとの繋がりがどうなるか、少し見守っていこうかなと思います。