ボツワナではこの数年、野菜が輸入禁止となっていました。

マシシ前大統領は、2022年1月に突然、野菜の輸入禁止(vegetable import ban)を発表しました。COVID-19の時に食糧の調達が上手くいかなかったのだと思われます。また野菜の輸入の際に支払う外貨が減少していったという背景もあった記憶があります。
以上の事から、これは推測になりますが、「 自国(ボツワナ)で野菜を生産できるようにしなければ 」という結論に達してからのこの発表だったのでしょう。彼はこれに関して「 food security 」という言葉を良く使っていた記憶があります。

かたや、政権が代わって、新政権は先月下旬に、このimport banを2段階に分けて解除していくと発表しました。この段階を2つに分けたのは、ボツワナ国内で多く栽培されているものとあまり栽培されていない野菜でしょう。この解除の理由ですが、「値段が高くなって、国民が野菜を買えない」との事です。

どうしてこんなにも、両極端に走るのでしょうか。

前者は南アとの関係を悪化させましたし(ボツワナは野菜のほとんどを南アから輸入している)、後者はマシシのおかげ?で国内で育っているかもしれない産業としての農業を潰しかねません。なお、後者については、ボツワナの小規模農業を営む方々が大きな抵抗をすることが予想され、成り行きを見守っていこうと思っています。

問題点は、どちらも「 1つの側面からしか見ていない 」「 (物事を決定した後に)国内がどうなるかをあまり考えていない 」という2点になります。そもそも農業に関しては、ボツワナと比べて、南アのほうが一日の長以上のものがあります。そんな巨人に対抗するには政府が多少なりとも支援しないと無理なのに、マシシ前大統領は何もしなかった。現政権も禁輸を解除したその後を多分何も考えていない。国民にとって安い野菜が手に入るのであればそのほうがいいとしか思っていない。

誰もが「 economic diversificationが必要だ 」とわかっているのに、農業1つとってもこのあり様ですよ。ダイヤモンドが売れなくなることを予想して、経済の多様化に関する政策を打っていかないといい加減まずいと思うのですよね。

最後に、では私ならどうするか。

シンプルに輸入「 規制 」です。禁止ではありません。同時に「 地産地消の必要性 」を説くと共に政府が支援する感じです。例えば、お金がある時はボツワナ産、ない時は南ア産みたいな選択をしていく感じです。

これですと結局は両国の農家が泣くことになりますし、理想論なのは百も承知です。

今回の野菜輸入禁止の一部解除を契機として、ボツワナ政府がちゃんと農家を支援して、20年後に南アフリカと肩を並べられるように、農業を産業として育てていってほしいです。