TICADが近づいてきましたね(1)

来月の20日から、横浜でTICAD 9が行われます。
アフリカ南部の話題を扱っている当サイトとしては、何回かTICADに関連したニュースを取り上げないとな、と思った次第です。

というわけで、2つほど興味を引く記事があったので引用します(どちらも日経の限定記事)。

日本の労働力不足、タンザニアから受け入れを 駐日大使が提案

タンザニアのバラカ・ルバンダ駐日大使は(中略)タンザニアの若年層を建設、農業、介護、製造業などの分野で日本に送り出す方針

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB23ADQ0T20C25A6000000/

正直に言うと、「若者の失業率が高いから、国外に放り送り出したい」という見方をしていたのですが、Statistaの解析が正しければ、タンザニアにおける15-24歳の失業率は、直近の10年間において3.5%前後をキープしています。つまり、失業率の数字としてはそんなに悪くない、むしろ南アやナミビアなどの若者の失業率に比べるとはるかに優秀です。それならば、なぜわざわざこのような時期にこのような発言を、と少々勘繰ってしまいますよね。

もう1つはこちら。

若きアフリカ人材、日本で活躍の道探れ TICADの新論点

貿易・投資の拡大へと移ってきたが、ここに来て人材という新たな論点が浮かんできた。アフリカの人材をもっと働き手として日本で受け入れ、日本人と共に価値を創造する「共創」の道筋をつくれるかが問われる。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB213970R20C25A6000000/

TICAD 8 では、今後3年間で300億ドル規模のお金を投入するという発表がなされました。つまり、4兆2千億円ものお金がアフリカへの投資、という形で動かされたとみなしていいと思います。ちなみにこの時の成果をまとめた進捗報告書なるものがありまして、リンクが以下になります。

https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100717249.pdf

なかなか興味深い事が書かれているので、いずれこの場所でツッコミまくるかもしれません。

閑話休題。
働き手として、アフリカの人材を活用する、というと一見もっともらしい事を言っているのですが、一般的に日本人が考えているような人材が来てくれるとは、はっきりいって私は思っていません。理由はシンプルです。

「本当に優秀な人材(=日本人が欲している人材)は、国外へ出さない」

これにつきると思っています。
ただでさえ自分の国が困っているのに、優秀な人材を日本へ送って勉強してもらうなんて、それこそ国にとっては大変です。しかも、日本が気に入ってしまって、そのまま帰化されてしまったとしたら、目も当てられません。
つまり、派遣されるのは、日本人が欲していない人間ばかりだと思われます。厳しい言い方になりますが、「日本国が金を投じるに値しない」人材がやってくると予想されます。

「私の思い過ごしだ、考え過ぎだ」と思われる方が多いのではないでしょうか。ただ、JICAのボランティア隊員よりは長い年月をアフリカ南部で過ごし、彼らよりも多くの現地の人間と見てきた身は、どうしてもそのような予測になります。


話が2つの記事からだいぶそれてしまいましたが、TICAD 9 及びその関連で使われる国民の税金がより効果的に使われるといいですね。