野生動物に興味がある方々のなかには、いつかは大自然の中で彼らを見たいとお考えの人もいらっしゃるのではないでしょうか。動物園で見るのとはまた違う体験をすることが出来ると思います。私はもう動物園で動物を見るのは物足りなさしか感じないです(苦笑)。
ただ一方で、大自然の中で動物を見ていて、様々な要素が絡んだ結果、私たち人間が野生動物によって命の危機に晒される事があります。それは、この数年日本のメディアで登場する、野生の熊が民家を襲い、畑をめちゃくちゃにするというニュースを思い出していただければ何となくご理解いただけると思っています。
今年は残念ながら、ザンビアと南アフリカで観光客が象の攻撃によってお亡くなりになりました。不幸にもガイドが(多分怒っていた)ゾウに運悪く遭遇してしまったのかな、と推測していますが、いずれにせよ、お亡くなりになった方々のご冥福をお祈りいたします。
今回は、そんな「 Human-Wildlife Conflict 」に関連した内容を2つお届けします。
まずはザンビアでの話から。
先月ですが、ザンビア東部の州で、ゾウたちが暴れたようです(多分彼ら的には暴れてはいないと思う)。
Chief Chanje は「ザンビア政府に対して、永続的な解決策を見出してほしい」と述べた(意訳)
Elephants Destroy Gardens and Houses in Chief Chanje’s Area in Eastern Province
https://www.lusakatimes.com/2024/07/22/elephants-destroy-gardens-and-houses-in-chief-chanjes-area-in-eastern-province/
先ほど似たような事を書きましたが、野生動物は食べ物がなくなれば、(たまたま)人間の住んでいる区域に入って、草木を食べたり(人間が食べる穀物も含む)、家畜を捕らえて食べたりします。ただ今回はその被害にあったエリアというのが、Chief Chanjeが治めているエリアということで(このChiefは国への影響力も多少あるのでしょう)、話題になったのかもしれません。
熊だって怖いのに、さらにサイズの大きいゾウを間近で見たら怖いとか言ってられないですし、何もできないですよね。政府だけでは難しいので、このChiefや住民たちと一緒になって対策をしてほしいです。
南アから「動物園の」象がいなくなった(野生に戻った)というニュースがありました。
・ゾウのCharlieさん(推定43歳以上)がプレトリアの動物園から、リンポポ州のPrivate Reserveに移送された
Charlie, SA’s last zoo elephant, released back into nature after 43 years of captivity
・「プレトリア動物園から象をゼロにしよう」キャンペーンというものがあった
・彼は動物園で生活している際、3人の友人を看取り、自分の娘も亡くなってしまった
(英語の意訳)
https://www.dailymaverick.co.za/article/2024-08-20-charlie-sas-last-zoo-elephant-released-back-into-nature-after-43-years-of-captivity/
個人的にまったく意味不明なキャンペーンの末に、Charlieさんは自然に帰るはこびとなりました。
このCharlieさん、自分の食べるものに不自由しないで動物園で暮らしてきて、この年(ゾウからすれば43歳は若いのでしょうか?)になってからいきなり大自然の中に放り込まれます。人間で例えれば、地元で長く暮らしていたおじさんが、いきなり縁もゆかりもない土地に行かされるようなものです。
何を思って動物園のゾウをゼロに、と主張していたのかはわかりませんが(想像はつくけれども)、何十年も前に人間の都合で動物園に押し込めて、また人間の都合で外に出してって、本当にCharlieさんの事を考えていたのですかね。私は別に動物愛護家ではないですけれども、あまりにも傲慢じゃないでしょうか。一応、専門家がCharlieさんのモニタリングをしていく、というのがやや救いではありますが、彼が残りの人生を人間に干渉されずに過ごせるのを祈っています。