近年、電気自動車や蓄電池の需要拡大によって、リチウム(Li)の重要性が急速に高まっているのは、皆さんも知っていらっしゃるかと思います。その中で、注目を集めているのが、アフリカ最大のリチウム生産国となったジンバブエです。そして、このジンバブエのリチウム開発を支えている最大のパートナーが中国です。
中国は、レアアース資源を多く保有しているのは、すでにご承知だと思いますが、実はリチウム生産でもオーストラリア、チリに次いで世界第3位の産出国だったりします。しかしその産出量全部を使っても、中国でのLi蓄電池の生産に必要な量を賄い切れず、他国から輸入しています。この他国からの輸入のなかに、近年ジンバブエが食い込んできている状態で、中国のリチウム輸入量のおよそ15%を占めているといわれています。
このリチウムをめぐる中国ージンバブエの関係が築かれた背景として、中国企業による積極的な投資を挙げることができます。もともと、リチウムとは別に両国間の関係はかなり以前から構築されていました。ロバートお爺ちゃん(ムガベ前大統領)に端を発した欧米諸国からの経済制裁がありましたが、中国はその制裁にはのらずジンバブエを支援していた記憶があります。従って、リチウムがジンバブエで採れるとなった時に中国企業がこの地に進出するのは比較的容易だったと思われます。実際、中国の鉱業・電池関連企業は、ジンバブエ国内の主要リチウム鉱山の買収や開発に数十億ドル規模の資金を投入してきましたし、今後もその傾向が続くでしょう。
ただ、ここにきてジンバブエ政府は面白い行動に出てきました。それは、リチウム精鉱の輸出規制を実施したことです。これは精鉱の輸出だと大した利益にならないので(実際にリチウムの価格は一時期に比べてかなり低くなっているという理由もあると思いますが)、新たに工場を建設して、そこで精鉱中のリチウム濃度をさらに高くしたうえで輸出したいようです(付加価値がつくので利益が出る)。ここまでなら資源輸出国でよくある話で、それに対して鉱山会社が反発するまでがセットなのが一般的とされています。DRコンゴがコバルトの輸出を停止したのは、まだ記憶に新しいかと思います。しかし、このジンバブエの規制に対して、中国企業はほとんど反発していません(少なくとも表面上は)。理由はいくつかあるようですが、例えば、先行投資の回収をする必要がある、中長期的な資源の囲い込み(オーストラリアやチリは、欧米に寄る可能性がある)、などが挙げられるかなと思います。
ジンバブエは、もともと農業に優れていました(あのお爺ちゃんのせいでボロボロになってしまいましたが)。今もたばこ生産が盛んだったと記憶しています。しかしここにきて今回取り上げたリチウムや金(ゴールド)などを採掘する資源国に変貌しつつあります。中国の景気が悪化していると噂されているなかで、ジンバブエが彼らと一緒にリチウムで歩調を合わせ続けるのか、時々チェックしてみたいと思います。




